Top > 代謝について > 代謝の調節

生命の恒常性に際しては異化と同化両方の代謝系の調和が成立しなければならない。代謝系のほとんど全ての反応は酵素によるものであるが、したがって個々の反応の調節がなされなければならない。全ての酵素反応を調節するには、非常に複雑で膨大なシステムの存在をイメージするが、生物はその過程をシンプルかつ最小のエネルギーで行なえるよう優れたシステムを構築している。

主たる酵素反応の調節には、以下の4つがあげられる。

形質膜を用いた酵素の局所化
生体成分の異化および同化を異なる経路で行なうこと
熱力学的な反応の調節(基質の濃度差やpHの変化)
酵素活性および酵素の発現量による調節
1.の酵素の局所化については、原核生物の場合は形質膜構造は原則として1つであり、細胞内、細胞外のほか膜内といった区別しかなされない。したがって、原核生物の代謝調節における1.の依存度は真核生物ほどではない。一方真核生物は、ミトコンドリア、小胞体、リソソームといった多くの形質膜構造からなるオルガネラを有しており、個々の器官において特有の代謝系を有している。例えばミトコンドリアはクエン酸回路および電子伝達系のほかβ酸化系を有している。

2.の異化と同化を別経路に分ける点については上述の異化と代謝のつながりにも筆記している。例えば解糖系と糖新生系は多くの酵素に関しては同一であるが、一部不可逆反応を交えることにより、結果として別経路となっている。また、そのような不可逆反応を行なう酵素は酵素活性そのものの調節を受けるアロステリック酵素である場合が多い(後述)。

3.熱力学的な反応の調節については、基質の濃度差の変化に伴うケースが多い。例えばA→B→Cという反応が存在し、細胞のフェーズとしてCが必要であるとするとAあるいはBを何らかの形で外部から摂取し、細胞内のAあるいはBの濃度を高めることでCの生合成を助ける。その結果、最終的にCが使用されなくなりCの濃度が細胞内で増加したとするとB→Cの反応は濃度差の解消により平衡に達する。BとC間の反応が可逆でありBの濃度が減少すると今度はCからBへと反応が起きる。

4.の酵素活性そのものの調節や酵素の発現量による調節は特に後者は原核生物にて、非常によく研究が進んでいる。酵素活性の調節はアロステリック効果をはじめとした最終産物阻害を中心に、複雑なカスケード系あるいは酵素そのものの化学修飾(一例としてプロテインキナーゼを参照)などがある。酵素の発現量による調節はジャコブとモノーのオペロン説を中心に遺伝子発現と生体成分の協同的なモデルがある(一例としてラクトースオペロンを参照)。

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